2021年にフランスで行われたトップ・ワールド・スピリット・アワード(Top World Spirit Award )で金メダルを獲得したライシージャ「アシエンダ・エル・ディビサデロ(Hacienda El Divisadero)」。ライシージャ好きの私としては、一度飲んでみたい、そして一度蒸留所を見てみたいという欲求が日に日に強くなり、ゴールデンウィークを利用して、思い切って訪問を決意。
アポなしだと、誰も相手にしてくれない可能性があったので、事前にホームページからコンタクト。ホルヘ(Jorge)さんという経営者らしき人と運良く連絡を取ることに成功し、蒸留所の訪問日を伝えたところ、蒸留所のスタッフがアテンドしてくれるとのこと。突然の見知らぬ日本人からの連絡にも関わらず、快く引き受けてくれました。
アシエンダ・エル・ディビサデロのタベルナ(蒸留所に併設された大衆食堂)は、メキシコのハリスコ州のエル・トゥイート(El Tuito)という町の近くあるとのことで、早速行き方を調べてみました。
プエルト・バジャルタというリゾート地から、何とか行けそうだったので、プエルト・バジャルタへの航空券とホテルを予約。ノリと勢いが大事だと思ったので、そこまで綿密に計画を立てずに、プエルト・バジャルタへと出発しました。
プエルト・バジャルタのホテルに着いてから、まず向かった先は空港近くのバスターミナル。ネットで調べたところ、このバスターミナルからエル・トゥイートまでのバスが出ているようでした。
お決まりのUBER(メキシコのタクシーは個人的に信用できないので、メキシコでは常にUBERを利用)で早速バスターミナルへ。
カウンターのおばさんが非常に感じ悪かったのですが、ACPという会社からエル・トゥイート行きのバスが出ていることを確認。朝一番に出る便は6時15分でチケットは当日来た時に購入する必要があるとのことで、翌日早起きして、再度バスターミナルへ。6時に到着し、無事にチケットを購入。チケット代金はなんと55ペソ(日本円で約350円)。UBERだと確か5,000円くらいだったので、かなりの節約になりました。
寝不足で寝過ごす可能性があるということと、ホルヘさんいわく町周辺は電波がないため、念の為バスの運転手さんにエル・トゥイートに着いたら教えてくれと伝えました。電波がなければGoogle Mapも使えないので、町に着いたことが分からない危険性がありました。
バスは、海岸沿いを30分くらい走り、そこから山道をひたすら登っていき、約2時間くらいで町に着きました。
案の定、半分寝ている状態だったので着いたかどうか分からず、運転手さんに大声で町の名前を言われて初めて気が付きました。危なかったです。
バスを降りてすぐ隣にタクシー乗り場があったので早速タベルナまでの道を知っているか確認。1人の若めの男性が知っているとのこと。値段は片道200ペソ(日本円で約1,300円)でした。地図上では、タベルナは町から遠く、1時間くらいかかると思っていたので、あれっ結構安いなと思って承諾。しかし、後から聞いたら15分くらいで着くとのことだったので、少々ボラれました。しかし、行きのバスでかなり節約できたので、まあいいかなと思い、そのまま文句を言わずタベルナへ。
かなりの荒い運転で、命の危険を感じながら、15分程度でタベルナに到着。帰りも2時間後くらいに来てもらうように依頼し、タクシーを降りました。
タクシーを降りると年老いた男性が、挨拶に来てくれました。
ホルヘさんは、まだ着いておらず、何時に着くかも分からなかったので、マルセロさんに案内を依頼。
まずは、簡単に食堂の敷地内を案内してくれました。現在はコロナで停止中ですが、コロナ前はお客さんで大変賑わっていたとのことです。
宿泊部屋もあるため、泊まることも可能で、非常に景観がよく、トイレも清潔で、居心地がいい場所でした。
食堂内の柱には、先代の経営者たちの写真や、メキシコの革命家などの写真が貼られていました。アシエンダ・エル・ディビサデロは家族経営の会社で、会社名は初代の経営者の名前「ディビサデロ」が由来だそうです。
続いて、蒸留所の見学がスタート。
今はもう他の場所に大きな蒸留所があり、そこで作っているそうですが、販売開始当初はこちらの蒸留所がフル稼働していたとのことです。
ライシージャに関しての質問をしながら、第2の工程である焼き場に向かいます。こちらの蒸留所は現在は稼働してないため、アガベのピーニャ(葉を削り落とした部分で、ライシージャの元となるもの)はありませんでした。
オーブンに丸太、葉の部分を刈り取ったアガベ(通称ピーニャ)、火つけた木、石の順番で入れ、数時間焼いた後で、蓋をします。蓋をしてから2日間程度蒸し焼きにするとのことです。
2日後にオーブンからピーニャを取り出し、中の蜜の部分と殻の部分を分けていきます。
下記画像のくぼみ部分に焼いたピーニャを置き、木のハンマーで砕きます。これは、昔からの製法で、現在は機械などを使ったりしているそうです。
ある程度分けられたら、さらにしっかりと密部分を抽出するために、下記の機械にかけていきます。
こちらの工程が終わったら、次は発酵の工程に進みます。発酵専用の部屋に入れて、約1週間の発酵を2回行います。
発酵が終わったら、いよいよ次は蒸留の工程となります。アラブ式とアジア式の発酵器に入れて、合計3日間程度蒸留をします。
蒸留されたライシージャはこちらの筒の先から出てきます。
マルセロさんのお陰である程度ライシージャの精製方法をある程度学べましたので、一旦食堂の方に戻ることに。
もう実際に飲みたくて仕方がなくなってしまったので、賞を受賞した赤いラベルの方を購入しました。
黒いラベルの方が確か700ペソ(日本円で約4,600円)、赤い方は850ペソ(日本円で約5,500円)でした。酒屋などでも売っていたりしますが、大体2,000円ぐらい高いです。やはり現地で買うと少々お得ですね。まあ、ここまで来るのにかなりの労力とお金を消費していますが。。。
マルセロさんとの会話をつまみにお酒が進み、気を使われて、食事とコーヒーも用意してくれました。何とお題はいらないとのことです。感謝です。食事の写真が食べかけのものですみません。既に結構酔っていて写真を撮るのを忘れていました。
食事も美味しかったのですが、かなりの衝撃を受けたのはこのカポモ(ブレッド・ナットの木)の実を使って淹れられたコーヒーでした。カポモの実はこの地方でよく取れるそうで、100%ナチュラルでノンカフェインだそうです。すごくフルーティーで、優しくサラッとしていてコーヒーの概念が覆りました。
最後はマルセロさんとの2ショットをお願いして終了。※私の顔モザイクですみません。
飛ばしまくるタクシー運転手も到着したのですが、美味しすぎたので、コーヒーを最後にもう一杯いただき帰路へ。
結局ホルヘさんは間に合わなかったですが(※後で謝罪メールをもらいました)、マルセロさんの案内でライシージャの勉強もできましたし、美味しい食事とコーヒーもご馳走になり大満足の1日でした。
この翌日にまた別のタベルナにお邪魔しましたが、その件は次回のブログで書こうと思います。
最後までお読みいただきありがとうございます。