メキシコのカンティーナとは?

メキシコのカンティーナとは、メキシコの伝統ある大衆酒場です。お店の中にステージがあり、メキシコ音楽の生演奏を聴きながらお酒を飲むことができます。音楽に合わせて、お客さんは店内のどこでも踊ることも可能です。

各カンティーナにそれぞれの特徴がありますが、大体のお店は、お酒を1杯飲むと1品、2杯飲むともう1品と、つまみ料理リストの中から好きなものを飲んだお酒の数だけ無料で注文することができます。料理の料金分が上乗せされているため、1杯あたりの料金は少々割高ですが、このつまみ料理が絶品で、お店によって多少システムが異なりますが、1杯目を飲んだ時に頼める料理、2杯目を飲んだ時に頼める料理と段々とグレードアップして豪華になっていったりします。このシステムが非常に魅力的で、どんどんとお酒を飲んで、より豪華な料理を注文していきたいといった衝動に駆られて、お腹いっぱいに食べて、酔っ払うまで飲んでしまいます。
※お店によっては、無料ではなく、料理を1品1品有料で注文するシステムの場合もあります。

つまみ料理は非常にレベルが高く、お酒と一緒に食べることが前提とされているため、お酒好きにはたまらないものばかりです。飲みたい欲求と食べたい欲求を同時に刺激され、必要以上に飲み食いしてしまうので、少し注意が必要ですが。

カンティーナの歴史

1846年にメキシコがアメリカとテキサス州の領土戦争をしていた時に、現在のカンティーナの前身となる飲み屋ができました。

現在のカンティーナのように、お酒と一緒につまみや料理を頼むといったものではなく、ただお酒を1杯ずつ頼むことができるというスタイルでしたが、当時の軍人たちの戦争の疲れを癒す憩いの場となっていたそうです。

19世紀中頃には、カンティーナは約10ヶ所ほどでしたが、当時の大統領がカンティーナを独自の文化として認知し始めたことにより、その名が一気に広まり、20世紀初頭には、カンティーナの数は、約1,000まで一気に増えました。

カンティーナはもはや欠くことができないメキシコを代表する大衆文化となり、人々にとってカンティーナは生活の一部となっていきました。しかしながら、目的は昔と変わらず、友人や仲間とお酒を交わし、笑い合い、毎日の疲れや不安、ストレスを忘れることが主な目的でした。

カンティーナは人々の間で勢いを増し広まっていきましたが、当時はペット、女性、子供、ホームレス、制服を来た労働者などの入店は厳しく制限されていました。

1982年に当時の大統領、ホセ・ロペス・ポルティージョ(José López Portillo)が女性に対しての制限をまず撤廃しました。撤廃後は、女性の入店もあってどのカンティーナも人だかりで、注文も追いつかず、女性用のトイレもなく、かなり大変だったようです。

カンティーナでの食事

カンティーナでの食事メニューはボタナ(スペイン語ですまみという意味)と呼ばれています、当初は、スペイン料理のタパスを指す言葉でしたが、今日では、カンティーナ独自の食事メニューを指す言葉となっております。

ラ・マスコタ(La Mascota)はメキシコシティにある老舗のカンティーナで、毎日日替わりでボタナを7種類用意しています。
一例としては、パンシータ(pancita)、ソペス(sopes)、カルニータス(carnitas)、アルボンディガス・アル・チポトレ(albóndigas al chipotle)、ポジョ・エン・サルサ・ベルデ(pollo en salsa verde)がなどがあります。

パンシータ
ソペス
カルニータス
アルボンディガス・アル・チポトレ
ポジョ・エン・サルサ・ベルデ

各カンティーナには、お店独自のメニューがあり、しかもそれが定期的に一新されるため、何度も訪れても飽きることなく、新たな気持ちでお酒とお料理を楽しむことができます。演奏する地元アーティストも毎回違うため、様々なメキシコの音楽文化を体験することができます。

お酒の種類もかなり豊富で、各種カクテルやビールをはじめ、ラム、ウィスキー、ブランデーなど世界各国のお酒や、メキシコを代表するテキーラやメスカルなども飲むことができます。テキーラやメスカルをショットで頼むとサングリータ(トマトやオレンジュース、香辛料などを入れた飲み物)やスライスしたオレンジに特殊な塩がかかったものなども一緒にもらえたりします。これが、ショットのテキーラやメスカルに非常によく合います。オススメです。

メキシコシティの代表的なカンティーナ

ラ・オペラ(La Opera)

1876年創業の老舗のカンティーナで、メキシコの革命家「パンチョ・ビジャ」も通っていたことで有名です。店内は当時の景観を残していて、落ち着いた雰囲気で、美味しいお酒とお料理を味わいながら、古き良きメキシコの時代を感じることができます。

営業日時:13:00-24:00(月〜土)、13:00-18:00(日曜)

サロン・テナンパ(Salón Tenampa)

マリアッチがたくさんいるガリバルディ広場の近くにあるカンティーナです。メキシコの有名な歌手兼俳優のペドロ・インファンテの映画、メキシコを代表する「カンティンフラス」「ティンタン」などのコメディアンのロケ地として利用されるなど、THEカンティーナといった雰囲気を存分に味わうことができます。

営業日時:14:00-02:00(日〜水)、14:00-03:00(木〜土)

カンティーナ・エル・レオン・デ・オロ(Cantina El León de Oro)

1954年創業とかなりの老舗ですが、料金は他と比べて良心的で、こちらはお酒を頼むとつまみが無料になるシステムが採用されています。テラス席もあるため夜の涼しい風を感じながら、お酒、お料理、音楽に酔いしれることができます。毎週土曜日の16:00-18:00はマリアッチの生演奏を聴くことが可能です。

営業日時:13:00-23:30(月)、11:00-23:30(火・水・土)、11:00-24:30(木・金)

時代とともに、店舗数が減少しつつあるカンティーナですが、メキシコの古き良き時代、活気のあるメキシコの夜の雰囲気を感じることができるオススメの場所です。メキシコシティに滞在予定のある方は、是非一度足を運んでみてください。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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